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8月27日のオープンセミナーに続き、準備を進めてきた『南三陸杉デザイン塾』が、9月17日、開校の日を迎えました。
雨模様の中、会場の丸平木材㈱会議室には、集合時間の前から塾生が続々と姿を見せ、期待感の大きさを伺わせました。定刻を繰り上げて始まった「塾」第一回は、「オリエンテーションと課題設定」、「先行事例に学ぶ」がテーマです。
冒頭、小野寺邦夫塾長が『デザイン塾開始にあたって』と題した挨拶を述べ、塾のコンセプト、今期デザイン塾の目指す目標「“南三陸杉クラブルーム”のデザイン」について全体像を説明しました。続いて事務局から、12月までの塾のスケジュールと各回の内容説明が行われました。
「デザイン塾」第一期に申し込み、入塾が決まった塾生は12名。南三陸町以外の県内はもとより、東京からも参加しています。まず、自己紹介を兼ねて、「自分がこの塾で目指したいこと」についてそれぞれがミニ・スピーチを行いました。
会場に掲げられた「南三陸杉デザイン塾」のフラッグ
続いて、南三陸杉が目指す、商品としてのブランディングや6次産業化の領域で先行している事例から学ぶためのプレゼンテーションが行われました。登壇してくださったのは、遠く大分県日田市からの木材加工業、㈱トライ・ウッドのお二人。まず、井上伸史社長が、『風倒木からの林業再生』と題し、自然災害で倒れてしまった、放置すれば死んでしまう杉を材木として活用しつつ内装材や家具として商品化していった経験を紹介。困難の中、信念を持って地元の産業育成に挑戦したお話には、塾生や、オブザーバーで参加した南三陸町の林業関係者も熱心に聞き入っていました。続いて、商品開発の専門家として現在同社で家具のデザイン・制作に携わっている杉野幸さんが『買い手から見たものづくり』と題し、作り出した「もの」をいかに市場で価値を持つ「商品」に進化させるかについて、先月のDIYショー(東京・幕張)に出展した際のエピソードを交えながら語り、今後の南三陸の事業に参考となる素材を提供してくれました。

いよいよ、主任講師、第一人者と呼ばれるにふさわしいキャリアを持つ家具デザイナー、小田原健氏の登壇です。
小田原さんは、昨年の「南三陸杉フォーラム2014」以来、デザインの力で南三陸の林業を活性化していく構想を小野寺塾長らとともに進めてきた人物。最近完成したばかりの千葉県木更津市の建材会社の、「一軒まるごと自然素材のみで家を作った」ショールームを例に引き、デザイン画や図面を提示しながら、デザインの付加価値なくして日本の林業の再生はない、と力説されました。
第一期の塾生は、「木工に関心はあるが、実際には未経験」という方から、「職人としてやってきたがデザインで価値を上げるという考え方に共鳴して」という方までさまざま。プログラムの最後は、グループに分かれて語り合う中で、それぞれに目標をより明確化しました。今回集った全員でひとつのものを作り上げていくことを目指す中で、ひとりでも多くの南三陸杉ファンを全国に育てるための原動力になっていただくことを期待してやみません。

塾の第一回終了後も、講師を捕まえて質問・相談する塾生の姿が見られました。そうした熱気の続くまま、講師・スタッフは、「さんさん商店街」に場所を移し、東北と九州という距離を超えた交流を夜の更けるまで深めました。
(文責:事務局)